ヘルペスは他の性病に比べて再発性の高さや完治が困難な点がやっかいです。しかし、治療薬を服用することである程度症状を抑えることができます。

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寂しい女性

唇や口内に炎症や腫れ物ができたり、性器まわりに発疹ができたりと、ヘルペスは何かと厄介な存在です。
しかも一度発症するとなかなか治らずに、つらい症状がつきまといます。
口唇ヘルペスをはじめとして、性器ヘルペスや角膜ヘルペスなどさまざまな種類が存在するヘルペスは、どういった経緯で感染・発症するのか、また何度治療しても再発することに対して不思議に思っている方も多いことでしょう。
ここではヘルペスの種類をはじめ、症状が似ている帯状疱疹との相違点や感染源となるウイルスの種類と特徴、感染に至る原因や感染経路について解説します。
さらに、ウイルスの強い感染力や再発におけるメカニズム、再発を予防する方法を学んでいきましょう。

ヘルペスってなに?

「ヘルペス・Herpes」は、小水疱(小さいみずぶくれ)が集まった急性炎症性皮膚疾患のことです。
単純ヘルペスウイルスの感染によって発症する単純疱疹と、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染によって発症する帯状疱疹の2種類存在します。
両症状とも一度感染するとウイルスが一生その体内に潜伏し、健康な状態だとなりを潜めて、抵抗力が低下した時に活動・増殖して再発するという性質を持ちます。

「Herpes」はギリシャ語で「這う」という意味を持ち、もともとは真菌症や、丹毒・皮膚癌など這うように拡大する急性炎症性皮膚疾患すべてを指していました。
しかし、19世紀に入った頃から妊娠性疱疹や疱疹状膿痂疹、疱疹状皮膚炎や単純疱疹・帯状疱疹といった、水疱性疾患のみを指すように変貌していきました。
そして、現代では「ヘルペス」という時は単純疱疹もしくは帯状疱疹を意味しています。

ひとくちにヘルペスウイルスと言っても、世界には約160種類ものウイルスが存在しています。
そのうち人間に感染するのは8種類で、中でも感染する確率が高くて急性炎症性皮膚疾患に分類されるヘルペスは3つに絞られます。
口唇や角膜など主に上半身に感染する単純ヘルペス1型、性器まわりなど主に下半身に感染する単純ヘルペス2型、帯状疱疹や水疱瘡を引き起こす水痘・帯状疱疹ウイルスの3種です。

単純ヘルペスウイルスの初感染時や同じ種類のウイルスに再び感染する再感染の時、あるいは初感染後に潜伏していたウイルスが再活性化することで起こる再発などにより、皮膚や粘膜の上で小水疱やびらん・ただれを主体とした病変が生じます。
特に初感染時は、ウイルスに対して免疫を持っていないため、高熱などの全身症状を伴うことが多く、症状も全体的に強い傾向にあります。
急性炎症性皮膚疾患に限らず、二度目以降の感染や発症に関しては、人体が原因であるウイルスや病原菌に対して免疫を作り上げるため、一般的には軽症であることが多いです。

ヘルペスの中でも最も多いのは口唇ヘルペスであり、次に性器ヘルペス、顔面ヘルペスやカポジ水痘様発疹症の順に発症しやすい傾向にあります。
口唇ヘルペスは、口元・粘膜に単純ヘルペス1型が感染することによって発症します。
発症する原因は、主に感染者との直接的な接触によるものが多いほか、くしゃみなど飛沫感染も多いです。
主な症状としては、ヒリヒリとした刺激や赤い腫れ・水ぶくれ、顎の下のリンパ節の腫れなどが挙げられます。

性器ヘルペスは、他の種類と比べて何度も再発しやすいのが特徴です。
単純ヘルペス2型が性器付近に感染することにより発症する感染症であり、感染者との性行為によって感染することが多く、性病の一つとして広く認知されています。
主な症状は、かゆみやヒリヒリとした痛み、水ぶくれや赤い発疹、太もものリンパ節の腫れや排尿時の痛み(女性に限る)などが挙げられます。
口唇ヘルペスよりも再発率が高いため、再発の予防策が必要です。

カポジ水痘様発疹症が含まれる帯状疱疹も、ヘルペスウイルスの一種である水痘・帯状疱疹ウイルスの感染が原因で引き起こされます。
症状の進行は、片側の神経分布領域に知覚異常やかゆみが数日から1週間の間続いて、のちに虫さされのような紅斑が発生します。
この段階で、軽度の発熱やリンパ節腫脹・頭痛など全身症状が見られることもあります。

やがて紅斑の上に小水疱が発生し、初期の透明から黄色い膿疱へと発展して一週間ほどで破れてただれ・潰瘍になります。
この状態の1週間後までは紅斑や水疱が再び現れたりしますが、約2週間でかさぶたとなり3週間後にはかさぶたが脱落して治ります。
帯状疱疹もヘルペスも、皮膚の表面にかゆみや水ぶくれを伴うという点では共通していますが、症状の進行や外見に大きな違いがあるのが特徴です。

感染力が強く、再発もするやっかいなやつ

ヘルペスウイルスは初感染後、知覚神経節にある神経細胞核の中に遺伝子の形状で潜伏します。
発熱時や紫外線の照射、歯科治療などの刺激・ストレス、別の病気や疾患に罹患するなど免疫力が低下した際に潜伏ウイルスが増殖することで再発します。
単純ヘルペスウイルスのうち、1型は上半身を中心に、2型は下半身を中心に発症します。
一般的には、1型よりも2型の方が再発頻度が高いとされています。

単純ヘルペスウイルスの恐ろしさは、潜伏することによってしぶとく生き残るという点にプラスして、少し触れただけでうつる感染力の強さも挙げられます。
飛沫感染はおろか、人間同士の接触でうつります。
唇や口の周囲に水ぶくれなど症状が出ている際、キスや頬ずりをするだけで感染します。
そのため、夫婦や親子など親しい関係で特にうつりやすいとされています。

成人が罹患するイメージが強いかもしれませんが、この強く広い感染力によってヘルペスは赤ちゃんや子供にも被害は及びます。
厄介なことに、初回感染の強い症状が出ないケースもあるため、ほとんどの方が知らない間に感染していることが多いです。
またこの強大な感染力により、人間同士の直接的な肌の接触以外にも、グラスやタオルなど共用の道具や衣類・繊維を通して間接的にも感染してしまいます。

他のウイルスや病原菌と同じく、体調が健康で健全な皮膚の状態であれば角質が厚く、皮膚のバリア機能も充実しているためウイルスが侵入しにくく簡単には感染しません。
しかし、ささくれなどの小さな傷やアトピー・湿疹といった皮膚トラブル、性器や口など角質のない粘膜部分に触れるとウイルスの侵入を許してしまいます。

さらに、感染後の自身の身体にも注意が必要です。
感染力が高いため、自分の患部に触れた後に身体の他の部位に触れてしまうと、その部位にまで感染する可能性があります。
歯肉口内炎や口唇、顔面・角膜や性器といった部位の他に、手や指など身体のあらゆる部位に広がります。

最も感染・発症しやすいとされる口唇ヘルペスの場合、症状自体は2週間程度で自然に治癒します。
薬の使用や医師の治療によって、治癒までの期間を縮めることも可能です。
ただし、ヘルペスの厄介な点は一度治ったと思っても時間を置いて再発する点にあります。
水虫など真菌症と同様、体内に隠れ棲んで再度繁殖・活性化する機会をうかがっています。

水虫の原因菌である白癬菌をはじめとする真菌症と違い、ヘルペスウイルスは一度感染すると神経細胞内に潜伏するため、治療が完了したとしても体内から完全にウイルスをなくすことはできません。
知らないうちに感染してしまうことが多い単純ヘルペスウイルスですが、一度感染してしまうと完治は難しいため、再発を予防すること、他の部位や他人にうつさないように心がけること、この2点を留意しておく必要があります。

再発しやすいタイミング

再発するタイミングは、先述の通り疲労やストレス、病気・疾患などが原因で体力・免疫力ともに低下した状態が多いことを覚えておきましょう。
特に2型による性器ヘルペスにおいては、一度かかると何度も再発するケースが非常に多い病気です。
人によって頻度はさまざまですが、年に1~2回の時もあれば毎月のように再発する場合もあります。
再発の頻度が増えるほど症状自体は軽くなりますが、回数が多い分だけ他の部位へ感染する確率が上がります。
性器を触った手で目をこすって角膜炎を起こすなど、2型であっても上半身に感染するケースもあるため十分警戒しましょう。

一方、帯状疱疹はヘルペスと異なり再発することはありません。
ヘルペスよりも大幅に症状が強い分、発症した際に体の免疫機能も反動として強く働きます。
作られた免疫は症状が治まっても消えることなく体の中に存在しており、一度その強い免疫さえ作ってしまえば二度と帯状疱疹を発症することはありません。

ヘルペスを予防しよう!

ヘルペスが再発しやすいタイミングは、日々の生活を送る上でのストレスや疲労が蓄積した時や風邪による発熱時、長時間の紫外線の照射や生理といったように、体が弱っている時つまり免疫力が低下している時です。
再発を予防するためには、免疫力を低下させないために栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠、ストレスを溜め込みすぎない、規則正しい生活習慣が条件となります。
精神的にも肉体的にも、ストレスが溜まれば身体のさまざまな箇所に負担がかかるため、他の疾患を防ぎ心身ともに健康に過ごすためにも、健全な生活と定期的なリフレッシュを意識しましょう。

また、食事を工夫することにより再発の予防はもちろん、口唇ヘルペスの自然治癒の手助けとなります。
豆腐・納豆などの大豆類、かつお・サバ・鮭などの魚介類、鶏肉や牛肉、ヨーグルトなどの乳製品に含まれる、リジンという必須アミノ酸が効果的です。
リジンは体内で生成することができない物質であるため、食品から摂取する必要があります。
アレルギー症状がなければ、リジンが多く含まれる「そば」も摂取すると予防・早期回復の効果が期待できます。
納豆や豆腐などの大豆製品にはリジンの他、イソフラボンも摂取できるため健康面も美容面も効果があります。

治療時や発症しそうな時期に必要とされるリジンの摂取量は、1日あたり3000mgとなっています。
発症していない状態で、予防のために摂取する場合は1日あたり1250mgが目安となっています。
納豆1パックが1000~1100mg前後となっているため、納豆が苦手でなければおすすめです。

乳酸菌が含まれる、ヨーグルトなどの乳製品も効果が高いです。
免疫細胞は、全身のおよそ7割近くが小腸に存在しており、腸内環境を整えることがそのまま免疫力の向上へと直結します。
大根やゴボウなどの根菜類や芋類に含まれる食物繊維も整腸作用があるため、免疫力向上には欠かせません。
他にも、ニンニクやショウガ、緑茶といった食品もウイルスを殺菌する力があるので、効率よく食事に取り入れましょう。

この他にも、外出する際には紫外線に要注意です。
強い紫外線を連続して浴びてしまうと、体内のヘルペスウイルスが活発化して再発しやすくなります。
夏場はもちろん、どのシーズンであっても日差しがきつい日は、日焼け止めやマスクなどを活用して直射日光を浴び続けないように調整しましょう。

人にうつさない心がけ

症状が再発している期間は、人にうつさないように配慮することも大切です。
発症している期間は、ウイルスの量が特に多く、活動も活発で繁殖力が高くなっています。
その分感染力も高まっているため、人との接触をできるだけ避けるように工夫するべきです。
直接接触はもちろん、間接的に接触しても感染するため、タオルやコップを共用にせずに個人のものを用意して、ウイルスを広めないように考慮しましょう。
特に、赤ちゃんや小さな子供に関しては免疫力が低いため、細心の注意を払うようにしてください。

乳幼児が感染したとしても重症となるケースは少ないとされていますが、ウイルスを保持する原因となってしまうため要注意です。
症状が落ち着くまでの2週間ほどの間、できる限り近寄らないなどの工夫をしましょう。

自身の身体の他の部位への感染を予防するには、患部を触った手で他の部位に触れないこと、常に清潔に保つことがポイントとなります。
特に、外用薬などで治療を行っている場合は、患部に塗布した後身体に触れないように注意してください。
必ず手を洗ってから触れるようにしましょう。

ヘルペスは症状を抑えることはできても、完治するのは難しいウイルス性の病気です。
インフルエンザウイルスなどのように、ウイルスが体外へ排出されることはないため、上手に付き合っていく必要があります。
免疫力の低下が起こるのはどんな時か、体調を崩すのはどんな時かを分析して、症状が出始める前に未然に予防するのが最善策となります。

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